国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

生物圏環境学科

【卒業生寄稿】ツシマヤマネコの研究に導かれて、井戸優海さん(野生順化ステーション勤務)

私はNPO法人どうぶつたちの病院の職員として、「環境省ツシマヤマネコ野生順化ステーション」でツシマヤマネコの飼育員をしています。

井戸優海、ツシマヤマネコ
井戸優海(いど ゆうみ)さん
ハズバンダリートレーニング中

ツシマヤマネコは長崎県対馬にのみ生息する日本の在来種で、様々な要因により生息数が減少し、現在は環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されています。国内希少野生動植物種にも指定され、保護増殖事業の一環として生息域外保全が進められ、動物園での飼育下繁殖が実施されています。私は大学院で、飼育下ツシマヤマネコの繁殖生理を研究し、繁殖期には交尾した雌の排卵判定・妊娠判定にも携わりました。

名古屋市東山動植物園、ツシマヤマネコ、岐阜大学
2023年に名古屋市東山動植物園で誕生した「No.103(したる)」
(母親「No.89(レイラ)」の排卵判定・妊娠判定を行いました。)

修士課程1年のときには、所属する動物保全繁殖学研究室が実施したネコ科動物の繁殖研究のクラウドファンディングに関わり、多くの応援とご寄付をいただきました。ツシマヤマネコへの温かいコメントも多く、保全や繁殖を応援してくださる方が全国にいることを実感しました。

研究室では他にもニホンイシガメの生息域外保全に取り組むなど、幅広い経験を積みました。仲間と繁殖について議論しながら、動物園や水族館に足を運んだ日々は濃密で、今でも色あせない大切な思い出です。

対馬で働きたいと思うようになったきっかけは、研究室の先輩からの「対馬でインターンシップってないの?」という一言でした。幼いころから動物園の飼育員を志していましたが、ツシマヤマネコの研究を進めるうちに、この動物に深く関わりたいという思いが強まりました。インターンシップ先に悩んでいたとき、先輩の言葉で「対馬で働く」という選択肢に気づき、現在の道につながりました。

ツシマヤマネコ、岐阜大学
雄の精巣の大きさを確認する様子
(環境省ツシマヤマネコ野生順化ステーションにて)

「環境省ツシマヤマネコ野生順化ステーション」では、飼育下で生まれた個体を野生復帰させるため、生きた餌動物の給餌や、対馬の自然環境を模した広い施設での狩りの確認など、野生で生きる力を育む訓練を行っています。現在は繁殖にも取り組んでおり、学生時代に培った知識を現場で活かしています。


対馬で暮らしながらツシマヤマネコを飼育することで、研究室では得られなかった多くの発見がありました。

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野生のツシマヤマネコ

季節の移り変わりと個体の変化、野ネズミがよく捕れる時期、ツシマジカの多さ、下層植生の減退、交通事故が起こりやすい場所...、実際に対馬で生活することでしか得られない情報があります。

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野生のツシマヤマネコ

研究で得た知識と現場での経験を組み合わせ、さらに技術を磨きながら、ツシマヤマネコの保全に貢献できる人材になれることを目指しています。

NPO法人 どうぶつたちの病院

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NPO法人 どうぶつたちの病院

井戸 優海さん
(略歴)
岐阜大学応用生物科学部卒業、大学院自然科学技術研究科修了後、
NPO法人どうぶつたちの病院に就職、環境省ツシマヤマネコ野生順化ステーションに配属


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