国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

生産環境科学課程環境生態科学コース

講義科目

講義科目

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ここでは、環境生態科学コースの教員が担当する主な講義の内容を紹介します。

1年生ー2年生

植物生態学

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森林の全天写真

陸上生態系の一次生産者である植物の生態の知識を高め、それらが織りなす生態系を理解することは、人類の生存に欠くことのできない農業生産の持続性や、人類が抱える地球環境問題の解決の糸口となる。植物の特性を深く理解するためには動物との違い、また、生態系を理解するためには時間スケールと空間スケール、加えて人為にも着目する必要性について講述します。

生物統計学

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本講義では、統計って何だ?何のために必要なの?という疑問に答えることから始めます。表計算ソフトを利用しながら、自然科学に関する様々なデータを処理していきます。得られたデータは一体どのような意味をもつのか、客観的に論じるにはどのようにすればいいか。レポートや卒業論文などでデータをまとめる際に理解しておくべき内容を中心に説明していきます。

動物生態学

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動物個体群の数の変動を支配する要因について解説します。また、動物の繁殖戦略に係わる自然選択・性選択・血縁選択について解説します。

地域資源学

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人、物、経済、活気・・すべてが都市に集中する昨今、地方が疲弊している。日本の自然環境、文化、伝統、農林水産業の担い手として成立していた地域が衰退することは何を意味するのか。それに対する方策としてどのようなことが考えられるのか。本講義では、地域の抱える問題、それが日本全体に及ぼす影響、さらには地域資源を活用した活性化対策について実例を挙げながら考えていきます。

生物形態学

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生物の形は美しい。その美しさは、芸術的センスからばかりでなく、科学的センスにおいても感嘆の対象と言える。この講義では、動植物の「形態」を、生息・生育環境や生態においての「機能」と結びつけて進化学的に再検討し、生物形態の科学的で基礎的な理解を試みる。実物をはじめ、美しいビデオ映像をもちいた講義は、動植物の研究活動を志す初学徒におくる「生物の見方」、「生物形態学入門編」である。

水文学

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水の循環経路

すべての生命にとって必要不可欠な水。その総量は思いのほか少なく限られています。しかし、水が地球上を循環している巧妙な仕組みがあるおかげで、私たち人間を含む地球上の生命は、半永久的に水を利用することができます。本講義では、この水循環が生じるメカニズムとその特徴を講義します。また、水はいろいろな物質を溶かし込むことにより、私たちにとって必要な栄養をも運んでくれる反面、汚染物質をも運んでしまう媒体でもあります。この物質循環のメカニズムもあわせて講義します。最後に、環境問題と水循環・物質循環との関係を事例的に講義します。

土壌環境学

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土壌調査

土壌は、動植物や微生物にとって重要な生育の場であると同時に、地域環境さらには地球環境の中で、水や各種物質・ガスおよび熱エネルギーの循環系の一部を担っています。本講義では、土壌の物理化学的性質と緒機能、および土壌内で生起する水・物質輸送の諸過程について解説します。さらに、土壌の諸特性や環境因子の把握に関する各種測定法を紹介します。

生物系統分類学

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共通祖先とは? 生物分類学は、分類される生物に関する思想で、総合的に生物を理解する手法でもある。ときに、生物の分類とその修正は、「単なる順番のつけかえ作業で、集めた切手(もしくはカードなど)をきれいに並べ替えるのに等しく、科学的価値が無く、集めた結果を種類分けする必要を感じる小者に似つかわしい」ときめつけてしまうこともある。こうした考えは誤りであり、高慢でさえあろう。分類学は人の思想の現れで、私たちの宇宙に存在する物体についての基本的概念を最もよく表現する。その生物分類に本質を理解しよう。

野生動物管理学入門

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自動撮影装置で撮られたツキノワグマ

野生動物管理学とは、「野生動物による農林業被害や環境・植生破壊の防止」と「地域における野生動物個体群の健全な存続」との両立を科学的に追及する「実学」です。近年、野生動物に起因する農林業被害が各地で激化する一方で、絶滅の危機にある種も増えている、そこで本授業では、主として国内における野生動物管理上の諸問題(歴史的・社会的背景を含む)を紹介するとともに、その解決に貢献し得る保全生物学的な知識・技術に関わる基礎事項を講じます。

遺伝学

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DNAの二重らせん構造モデル

減数分裂とメンデル遺伝学からはじまり、細菌・ウイルス遺伝学の発展と分子遺伝学や遺伝子発現調節機構、組換えDNA技術と遺伝子工学、トランスポゾン、細胞質遺伝とオルガネラゲノム、集団遺伝学といった遺伝学、分子遺伝学の基礎的な知識を習得します。

フィールド科学

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応用生物科学が対象とする生物・環境・人間のそれぞれの関り方を,フィールドを通して学習する。ここで定義するフィールドとは,生物がダイナミックに生活する場であり,また人間が生物と関わる様々な場でもある。本授業では、フィールド科学基礎実習やフィールド科学応用実習の内容と連動しながら、実際の現場での諸注意や科学的視点を学び、学生が今後フィールドで活動するための基礎的知識の習得を目指す。

3年生前学期

環境水理学

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河川、湖沼、沿岸海域などの水域における環境形成に際して影響の大きい物理的要因として、さらには、地域環境に関わる技術者として必要な素養として、流体の力学(水理学)を講述します。講義内容は水理学の基礎を中心とし、実際の水域における水理学的現象についても適宜紹介します。

森林管理学

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日本の森林を管理する上で必要となる「森林植生」、「森林・林業の現状」、「動植物の生態や森林環境」について講義します。 森林の変遷、林業、森林を構成する様々な生物群の生態の基礎的知識を習得し、人間による森林の利用と森林生態系に対する人間活動の影響を説明できる能力の獲得を目指します。

農業環境修復学

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焼畑

人類が組織的に農牧業を営み始めて以降の環境の改変と荒廃の過程を、人類の営みの歴史、農業環境の構造上の問題、土壌資源の劣化のメカニズムいう視点から把握すると共に、その対策について解説し検討を加えます。またわが国における農業環境問題の発生とその後の経緯について述べ、将来の安定した農業生産を保証することができる環境へと修復するための諸施策について解説します。

農業生態学

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地域環境に適合した農業生態を創成、維持、発展させるために、農業生態分析の基本的な考え方、農業生態系の構造的特徴の把握、地域固有の農業生態の成立と維持過程を分析するための実態調査と結果についての要因分析、必要な生態管理に関わる各種の手法を習得します。

水利環境学

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人間生活を快適に営むために必要な用水に関する条件を総称して「水利環境」と呼び、生活用水、灌漑用水、工業用水、環境用水、地域用水、洪水制御を対象としますが、本講義では、とくに農地や農村地域をとりまく水利環境の条件と計画手法を中心に説明します。

生態系生態学

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マングローブ林

地球温暖化や生物多様性の問題で示されたように、人間活動が地球のバイオスフィア(生物圏)に大きな影響を与えていることが21世紀になって広く認識されるようになった。生態系生態学とはどのような学問であり、環境の時代と言われる21世紀においてどのような役割を担っているのだろうか。本講義では、地球上のシステムとしての生態系の構造と機能、及びその広域的な評価について解説します。

ビオトープ論

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ビオトープ公園

ビオトープの原義は、多様な生き物が相互に密接に関係しながら生きる生息空間のことである。我が国は経済成長によって生活水準が向上した一方で、自然環境の破壊が急速に進み、身近な動植物が絶滅の危機に瀕しています。このような生物種を守るためには、その生物自身を保護し、増やすことだけでなく、その生物を含む生態系全体を健全に機能させることが重要です。本講義では、地域に多様な生物群集の生育する場を保全・復元・創出し、それをネットワーク化することによって多様な生態系の保全につなげる一連の方策について講述するとともに、特に二次的自然を保全しながら、農林水産業を含む持続可能な地域保全を行うための調査・研究方法について多様な事例を交えながら解説します。

応用昆虫学

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昆虫の形態や分類に関する基礎知識、生態や生理に関する基礎知識の習得を目指す。また、各種の農業害虫に関する防除技術の背景を理解し、総合的害虫管理技術の基本を習得します。害虫管理を実践する上での必要な知識の習得を目指します。

構造力学

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農業生産基盤、環境整備のための各種農業水利施設の設計理論の基本となる力学について講義する。

3年生後学期ー4年生

水圏環境生態学

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水路、ため池、河川、湖沼,沿岸海域などの身近な水圏・水域における生態系および環境のありかたについて多角的な視座から講述します。それぞれの講義の中で、生息生物(魚類、水生昆虫類、プランクトン、水生植物など)、食物網(被食-捕食モデル)、物質循環(主に栄養塩)、物理・化学的環境要因(水理・水質)、人間との接点(人工構造物と生態工学)について説明します。

土壌工学

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荒廃しつつある自然環境を保全する場合、あるいは何らかの目的で地盤や水資源を利用したり、地形や植生の改変を伴う場合には、地盤や地下水の挙動を正しく予測して災害を未然に防ぐ努力を欠かしてはならない。本講義では、環境に配慮した土壌や地盤の有効利用と災害防止の観点から、土の工学的特性の把握と力学的挙動の予測手法について解説します。

環境施設学

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我が国に止まらず全世界で食料生産を支える農業水利施設について、ダムを中心としてその仕組みと設計の概要を理解するとともに、昨今の実務に関する話題に触れます。 農業水利施設の役割と特徴を把握し、設計に関する基本的な事項を理解することを目標にしています。

生理生態学

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生態系におけるエネルギーと物質の循環を支えている光合成に焦点を絞って、環境条件の変化に対する光合成の応答を細胞から生態系レベルにわたって解説するとともに、それらが地球環境問題や農業生産とどのように関連するのかについて解説する 。

保全生態学

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生命進化の結果として、現在、地球上には少なくとも300万種、おそらくは1000万種の生物が生息する。顕微鏡でしか観察できない細菌や原生生物から、全長数十メートルにも達する動植物まで、多種多様な生物が独自の生活を展開している。人間は、このような生物たちに支えられ生残してきた。この講義では、人間を生物の1種であるヒトとして捉え、生物多様性の構造、機能を探り、その保全を考えます。

測量学Ⅰ・Ⅱ

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測量の基本原理について説明し、測量の種類と測定方法、測量結果の処理方法について講述します。測量学Ⅱでは測量学Ⅰに引き続いて、測量機器の原理と測定方法等について講義します。

CAD・GIS技術

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土地空間は多様な生態系と人間活動が展開する生存基盤である。前半では、この地理情報を的確に把握し、処理・分析し、計画や管理に効率的に活かす手法であるGISを学ぶ。後半では、製図総則(JIS Z 8310)に基づいた図面の作成方法を学び、JW-CADにより実際に作図を行う。

樹木医学

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樹木医学 樹木について広範な知識を得る「樹木医学」について講じます。樹木の構造、生育環境、病虫害、腐朽防止機構、樹木の保全などのテーマを、チュートリアル(ゼミ発表形式)に準じた講義方法を交えて習得します。樹木の病気診断、樹勢の回復、保護育成を視野に入れて、前述のテーマを平易に解説します。なお、実際に樹木医として活動している方を招いて、樹木医の現場について説明や実地指導を受ける時間をもうけています。

卒業研究

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主指導教員の指導のもと、科学的手法を用いて、1.立案、2.実施(調査、実験)、3.解析(実験、統計解析)、4.論文作成を進めます。最終的に研究成果を口頭発表し、学部生活の集大成として、指導教員とコース教員による評価を受けます。

教育課程編成・実施の方針等

教育課程編成・実施の方針 (カリキュラムポリシー)

環境生態科学コースでは、生態学と地域環境工学に関する知識と技術を身につけるため、動植物の形態と分類、機能生態、植物保護、応用生態、生態系と環境の管理、土壌と土質、水利と水文と水理、環境施設工学、測量と製図に関する講義、実験実習、演習を体系的に編成し、生物生産環境や生態系の保全・修復および関連する技術開発に応用するための科学的思考力と実践力の習得を目的として、各研究分野の分担・連携の下で教育を実施します。 生態学を中心とした生物科学、生物環境科学、環境工学などの基盤となる専門知識と生態系の保全、管理、修復などに応用するための専門的知識とを結びつけ体系的に理解している。 生物科学、生物環境科学、環境工学に関する専門的知識と生態系の保全、管理、修復などに応用するための基盤技術とを習得し、それらを活用できる。 生物科学、生物環境科学、環境工学に関する専門的知識と技能とを活用して生態系の保全、管理、修復などに関する課題を探求することができる。

卒業認定・学位授与の方針 (ディプロマポリシー)

環境生態科学コースは、地域やコミュニティを取り巻く生物生産環境や自然環境、およびその中で育まれる生態系を含む幅広い視点で地域環境を総合的に理解できる体系的な知識を有するとともに、生態学と地域環境工学に関する基盤的技術と実践的能力を習得して、生物生産環境や生態系の保全・修復および関連する技術開発に貢献できる技能を持った人材であることを保証します。

専門的能力の要素、達成すべき水準、評価方法

      1. 専門的知識(専門基礎科目、専門科目の成績)
        生態学を中心とした生物科学、生物環境科学、環境工学などの基盤となる専門知識と生態系の保全、管理、修復などに応用するための専門的知識とを結びつけ体系的に理解している。
      2. 専門的技能(専門基礎科目、専門科目の成績、卒業研究の課題設定、研究内容)
        生物科学、生物環境科学、環境工学に関する専門的知識と生態系の保全、管理、修復などに応用するための基盤技術とを習得し、それらを活用できる。
      3. 科学的・論理的思考(卒業研究の課題設定、研究内容)
        生物科学、生物環境科学、環境工学に関する専門的知識と技能とを活用して生態系の保全、管理、修復などに関する課題を探求することができる。

講義リスト(抜粋)

情報処理演習、フィールド科学基礎実習、フィールド科学応用実習、フィールド科学、科学英語基礎演習、生産環境科学基礎実験、遺伝学、植物生態学、生物化学、生物統計学、動物生態学、生物形態学、土壌環境学、地域資源学、生物系統分類学、水文学、野生動物管理学入門、生産環境関係法規

環境材料学、農業環境修復学、農業生態学、水利環境学、生態系生態学、ビオトープ論、夏季フィールド実習、インターンシップ実習、水圏環境生態学、応用昆虫学、構造力学、土壌工学、環境施設学、森林管理学、生理生態学、保全生態学、測量学、測量学実習、環境生態科学キャリア演習、生物形態計測学実験及び実験法、土壌環境計測学実験及び実験法、水環境計測学実験及び実験法、情報処理実習、樹木識別実習、草本植物識別実習、鳥類識別実習、昆虫識別実習、水棲生物識別実習、専門英語演習

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※シラバスとは、科目別に、講義などの内容や進め方、評価方法を記載したものです。

※講義実習等は、カリキュラム充実のため変更されることがあります。また、入学年度によって開講時期が変更されている場合があります。シラバス(概要)を元に構成していますが、在学生は必ず入学年度のシラバスと学期毎の時間割を参照してください。

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