国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

高校生・受験生の方

受験生のためのQ&A(研究教育内容)

学部全般

農学部から応用生物科学部になったということは農業生産や林業に関する研究はしなくなったのですか?
農学は、応用生物科学のひとつの学問領域と考えています。名前が変わっても、持続的な農業生産や作物の土壌病害の研究、家畜の飼料について研究している研究室があります。その他にも、農業生産を支える生産基盤の研究や農村問題についての教育研究などが引き続き行われています。また、岐阜フィールド科学教育研究センターでは、農業や林業を中心として継続して研究と教育を行っています。
地域研究は、やはり岐阜県に関することだけですか?
地域に根ざし、地域に貢献する岐阜大学として、我々の科学的知見を岐阜県等の地元に還元する地域研究が多くなります。しかし、研究対象は、タイにおける有用資源となる農作物の海外研究をはじめ、中国、モンゴルなど様々な国と地域で行われており、国内でも他の都道府県の動物園や水族館との共同研究など、社会的な問題や科学的な疑問があれば、どの地域でも研究対象として取り扱います。
ベンチャー企業を立ち上げた先生や企業と技術協力をして商品化されたものはあるのでしょうか?
ベンチャー企業では、応用生命科学課程の高見澤教授が、それぞれ大学発ベンチャーとして登録されています。それ以外にも企業に技術協力している先生は多数います。例えば、コレステロール代謝を改善する特定保健用食品「コレステブロック」の研究開発を行った応用生命科学課程の長岡教授や、国立大学の教官(2000年当時)としての日本初の社長兼業として起業したのは応用生命科学課程の中塚教授(現、名誉教授)でした。また、愛知万博の歩道で使用された木材廃棄物バイオマスボード(商品名:バスターボード、製造:揖斐郡森林組合)も、岐阜大学発の技術を製造開発に応用したものです。
品種改良による商品化は行われているのでしょうか?
生産環境科学課程の福井博一名誉教授らが育成した「スパティフィラム"フェアリーウィング"」が、フロリアード2012で「国際園芸博覧会フロリアード2012金賞」を受賞した例や、岐阜フィールド科学教育研究センターの大場伸哉教授らが「岐阜大ブランド野菜」として商標名『仙寿菜』(赤色アマランサス)などがあります。

研究分野

環境化学の分野はありますか?
環境化学分野と一口にいっても多様な研究内容を含む分野です。環境化学の基礎となる無機化学、有機 化学、分析化学などの講義や実習が多く行われるのは、応用生命科学課程です。例えば、応用生命科学課程(分子生命科学コース)の環境微生物工学分野では、微生物を用いた環境改善について研究を行っています。また、自然界の物質循環(水、土壌)に関する化学的理解や汚染度合いを測定する手法として環境化学をみた場合は、酸性土壌などの特殊環境で生育可能な植物の改良を行っている生産環境科学課程(応用植物科学コース)の植物細胞工学分野や、河川などの水系や魚類生息環境の環境改善の指標として環境化学に興味がある場合は、生産環境科学課程(環境生態科学コース)も選択肢の一つとなるでしょう。
バイオテクノロジーについて学べますか?
バイオテクノロジーは、「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(技術)」を合成した言葉ですから、非常に広い分野をさします。この技術は、応用生物科学部全体で欠かせない研究手法の一つとなっており、いずれの課程・学科を選択しても、それらの一端に触れることになります。おおまかにわけるとすれば、化学的側面や細胞や微生物単位での研究に対して、バイオテクノロジーの技術を使うことが多いのは応用生命科学課程、共同獣医学科であり、作物や品種や個体単位の研究に対して、バイオテクノロジーの技術を使うことが多いのは生産環境科学課程です。
野生動物の保護にについて研究していますか?
応用動物科学コースには、希少動物の繁殖生理について研究を行っている研究室がありますし、共同獣医学科にも繁殖学に関する研究室があります。また共同獣医学科には、野生動物医学に関する研究室があります。環境生態科学コースでは、野生動物の生息環境となる森林を研究対象にしている森林動物管理学を研究している研究室があります。どのように野生動物と向き合うかを良く考えて志望してください。
農作物以外の植物も研究していますか?
応用植物科学コースでは、植物生産全般に関わる内容について研究教育の対象としています。植物を生産するといっても、様々な側面があります。土壌や施設の栽培環境の整備、植物の品種改良、土壌微生物の働きの解明、園芸品種の作出、植物市場調査等があり ます。これらの対象となるのは、主に人が利用する植物ですから、狭く言えば作物ということになります。しかし、シロイズナズナといった植物のゲノム解析の モデル植物を対象とした研究や菌根菌といった植物との共生関係についても研究していますので、作物だけを対象に研究教育を行っているわけではありません。 植物の不思議な生命現象に共通する真理を探究しています。
医薬品の開発に関係している研究はありますか?
バイオテクノロジーの技術等を利用して、生理活性物質や健康補助食品となるサプリメント等について 応用生命科学課程で研究しています。また、共同獣医学科でも薬理学的な側面など、医薬品開発につながる基礎研究が多数行われています。
地球温暖化に関係した研究をしていますか?
地球温暖化は、自然環境に影響を与えますので、環境生態科学コースで学ぶことは選択肢となるでしょう。また、自然環境以外に農業生産に大きく影響すると考えられています。したがって、地球温暖化による温度上昇に対する作物生産量の変動についての研究がある応用植物科学コースも、一つの選択肢となるでしょう。
分子生命科学コースと食品生命科学コースは、生物と関係ない研究なのでしょうか?
これらのコースでは、生命現象を化学的に理解することに重点が置かれていますので、生物(学)と無縁ではありません。ただ、生命現象には、糖質・タンパク質などの生体高分子化合物が非常に重要な役割を果たしています。これらは生理反応の仕組みへの理解なしには、研究は意味をなしません。応用生命科学課程では、生命現象を化学反応として、あるいは化学合成をおこなって、その特性を解き明かそうとしています。
進化について研究していますか?
進化といっても、幅の広い分野です。系統樹から近縁度を考える研究から、卵発生過程を研究することで進化について考える研究など進化というものの扱いは様々です。花の性表現の進化の過程を研究している研究室もあります。このような研究は、生産環境科学課程で主に研究されています。
砂漠化について研究していますか?
砂漠化といっても様々な方面からの研究があります。砂漠化を止めるためには、木を直接植えるだけ が解決策をもたらすわけではありません。砂漠化という事象を他の側面から検討すると、水を効率良く使用する水路整備や農業技術開発、塩害対策、適正な放牧 密度を守る牧畜技術などがあります。応用動物科学コースには放牧に関する研究を行っている研究室があります。また、環境生態科学コースには生産性劣化土壌の修復や土壌の保水力に関する研究を行っている研究室があります。
共同獣医学科ではイヌやネコのことを中心に研究しているのですか?
共同獣医学科には、様々な研究分野があります。最近問題となっているプリオンに関する研究、鳥類の 感染症、野生動物医学や、もちろん、狂犬病ウイルスに関する研究等ここには書ききれないほど多くの動物を対象に研究しています。 共同獣医学科のホームページから各研究室の研究内容をご覧ください。
絶滅危惧種の保護について研究していますか?
生産環境科学課程と共同獣医学科では、絶滅保護種に関する教育・研究が行われています。野外調査も数多く実施されますので、現場から幅広く学ぶことができます。
ガンや感染症の研究に興味があるのですが、これらの研究を行っていますか?
共同獣医学科には、動物の腫瘍,動物の感染症および人獣共通感染症を研究している分野(獣医病理学、獣医微生物学、人獣共通感染症学、食品環境衛生学、野生動物医学、獣医寄生虫病学、獣医分子病態学等)があり、積極的に研究を進めるとともに、これらの研究成果をもとに特徴ある教育を行っています。