【新入生のみなさんへ】課程長および学科長からの新年度のあいさつ
報道 2020年04月21日
【応用生命科学課程長(生命科学・化学副専攻長)】教授 石田秀治
新入生の皆さん,ご入学おめでとうございます。
あこがれの大学生生活をこの4月から送る期待に胸を膨らませていたことと思いますが,世界的に蔓延している新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止のため,みなさんとこのキャンパスで予定通り授業を始めることができない事態となりましたことを,まずはお詫びいたします。
わたしたちは,生物が織りなす生命現象の複雑で細密なメカニズムを解明するとともに,それを応用することで医薬化成品や食品の開発・製造に活用することを目的として学びや研究を行っています。おそらくみなさんは,この世界的な困難に立ち向かうためにも,またその克服に貢献するためにも,早く応用生命科学を学びたいと思っているのではないでしょうか。
私たちが暮らす地域や国のみならず,世界の国々の社会や経済に与える影響をできるだけ小さく抑え,このパンデミックに収束の兆しが見えた先に待ちかまえるさらなるハードルを乗り越えるためには,皆さん一人ひとりが生命(いのち)を研究することを通して身に付ける科学リテラシーに基づく行動はもとより,大学生活を通して育む他人への思いやりが大きな力を発揮することでしょう。
これから皆さんがこのキャンパスでの学修を通して,科学的思考力と実践力を身に付けることで,人類の健康と生活の向上に貢献できる人材となれるよう,わたしたち教員一同はサポートを惜しみません。
このような非常事態を乗り越える際に最も重要な他人への思いやりは,人と人との触れ合いの中で育まれるものですから,皆さんとキャンパスで一堂に会する日を楽しみにしています。
【生産環境科学課程(専攻)長】教授 小山博之
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
桜の咲くキャンパスは人通りもまばらで、例年とは違いひっそりと静まり返っています。
1月から始まったコロナウイルスの感染は、ついにはパンデミックとなり、私たちも講義を予定通りに始められないことになりました。「生物(生産)」と「環境」を学び、研究する私たちにとって、今回の事象にはいろいろ考えさせられることがあります。
もちろん私たちは、一人一人が個として存在する"人間"ですが、生物学的には集団として存在する"ヒト"の1個体です。例えば、Social Distanceを保つ外出の自粛は、ウイルスの伝播を抑える効果があり、「命を守る」ことにつながります。この時に「守る命」は、皆さんや皆さんのご家族などの大切な"人間"に限らず、同じ種の多くの個体("ヒト")の命でもあります。
一方、地球温暖化を伴う人間活動の増加は、今回のような新興ウイルスの出現とともに生物多様性の喪失を招き、ヒトの持続的な生存を脅かすともいわれています。皆さんには、「生物(生産)」と「環境」の仕組みや係わりを、学び、探求し、持続可能な社会を切り拓く専門家(知識・技術とともに、問題に自律的に対処できる論理的な思考力を持つ者)に育っていただくことを期待しています。
キャンパスでお会いすることを、一同楽しみに待っております!
【共同獣医学科長】教授 鬼頭克也
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、心待ちにされていた授業の開始が遅れ、皆さんは不安な気持ちで一杯だと思います。コロナウイルスとの戦いは、これまでに誰も経験したことのない、まさに未曾有の危機と言えます。新たな感染を抑えるため、今は活動が強く制限されていますが、自分で学び、考える時間はたくさんあります。この危機を敢えてポジティブに捉えてみませんか。
皆さんは、この制限により、感染症という病(やまい)の怖さを感じていると思います。病とは恒常性が乱れた状態のことですが、病を起こすウイルスとはどのような生物なのか?コロナウイルスに感染して症状のない人がいれば発熱する人、重い肺炎で亡くなる人がいるのはなぜか?症状のない人からも感染が伝わるのはなぜか?多くの疑問があるはずです。獣医学科での授業が始まれば一つずつ学ぶことですが、この機会に考えてみてはいかがですか。そして、このウイルスと最前線で闘っている人たちの中には、医師や看護師だけでなく、獣医師もたくさんいます。獣医師の職域の広さにも目を向けてみませんか。獣医師はよく知られている動物診療活動だけでなく、家畜衛生、公衆衛生、バイオメディカル分野など、幅広い活動を通じで、動物ひいては人の健康にも大きく係わっています。
皆さんは、獣医師になりたくて獣医学科に入学しました。そして、獣医師になったら挑戦したい、成し遂げたい夢をもっていることと思います。まずはこの危機を共に乗り越え、そして夢への挑戦を始めて欲しいと思います。
一日でも早く皆さんにお目にかかれることを、獣医学科教員一同、願っております。近いうちに、健康な笑顔で、会いましょう。