国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

生物有機化学研究室

研究内容

研究内容

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生物有機化学研究室では

1. ポリフェノールの化学的反応性に関する研究

2. 植物中の機能性成分の探索

これらを主要な研究テーマとして扱っています。

以下、研究テーマの一例を紹介します。

ポリフェノールの化学反応性に関する研究

●茶カテキン類の酸化反応とその構造変化

お茶は製造法によって緑茶、ウーロン茶、紅茶に分類されます。ウーロン茶や紅茶では茶葉を発酵(酸化)させることで、特有の色や風味を作り出しています。

このような製造工程の中で酵素反応が進行し、カテキン類の酸化生成物(低分子ポリフェノール、高分子ポリマー)が生成されます。高分子ポリマーは分子量が大きく、化学構造や生成機構は明らかとなっていません。

私たちは、カテキン誘導体を用いたモデル酸化反応から高分子ポリフェノールの構造の解明に取り組んでいます。

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●プロシアニジン類の酸化機構

プロシアニジンは、リンゴやナッツ類、カカオや黒豆などに含まれるポリフェノールの一種で、優れた抗酸化作用を持ちます。プロシアニジンはカテキンが重合した化合物であり、複雑な立体構造をとります。

食品中でのプロシアニジンの酸化は、成分や色に変化を与えることがわかっています。当研究室の先行研究ではまず赤米の濃色化に注目し、赤米に多く含まれるプロシアニジンB3を合成し、酸化を行いました。

自然界には、プロシアニジンB3と構成単位や結合位置が異なったプロシアニジンも存在します。これらの違いによって酸化に対する反応性も異なると考え、様々なプロシアニジンを合成、酸化し比較を行っています。

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植物中の機能性成分の探索

●カキドオシ

カキドオシ (Glechoma hederacea var. grandis) はシソ科の植物です。

血糖降下や消炎作用をはじめとした様々な生理活性があり、古くから生薬やお茶として利用されています。

●柑橘ジャバラ

ジャバラは柑橘の一種であり、抗アレルギー、抗花粉症効果があることが知られています。

また、醗酵ジャバラは醗酵前と比べて抗花粉症効果が強いことが知られています。醗酵によって新たに生成する活性化合物を明らかにしようと取り組んでいます。

このような植物から溶剤を用いた成分抽出を行い、その抽出物をカラムクロマトグラフィーなどを用いて分離します。単離した化合物を各種NMRやLC-MSを用いて分析を行い、成分を同定します。

また、酵素を用いた活性評価も行なっています。

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English ver.

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キーワード:カテキン/ポリフェノール/紅茶/発酵/酸化反応/プロシアニジン/抗酸化/機能性成分/抽出/分析/分離/機器分析/構造決定/酵素/活性評価/有機化学/天然物化学/NMR/HPLC/LC-MS