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掲載日:2018年3月30日

【報告】平成29年度岐阜大学応用生物科学部 『武者修行2』

応用生物科学部では、研究の質の向上や学際性・国際性の発展を目的とした若手教員(准教授及び助教)を国内外の研究拠点に派遣する、学部独自の派遣事業(応用生物科学部武者修行)を実施しています。
 
動物の泌尿器疾患に関する臨床的研究
髙島 諭助教(共同獣医学科)
期間:平成30年3月5日〜17日
派遣先:日本動物高度医療センター川崎本院 泌尿生殖器・消化器科、岩手大学農学部附属動物病院

 今回、小動物の泌尿器疾患の診断と治療の方法を総合的に習得すること、岐阜大学における泌尿器疾患に関する臨床教育の底上げを目指すことを目的に、日本動物高度医療センター川崎本院(JARMeC川崎)泌尿生殖器・消化器科(図1、神奈川県川崎市)と岩手大学農学部附属動物病院(図2、岩手県盛岡市)を訪問した。

図1 日本動物高度医療センター川崎本院の外観 図2 岩手大学農学部附属動物病院の外観
図1 日本動物高度医療センター川崎本院の外観
 
図2 岩手大学農学部附属動物病院の外観
 (岩手大学農学部HPより)

 
 JARMeCは民間の二次診療施設であり、川崎本院では6つの専門診療科(腫瘍科、循環器・呼吸器科、泌尿生殖器・消化器科、脳神経科、整形科、眼科)がかかりつけ病院からの紹介に限定した診療サービスを患者動物に提供している。この診療施設の特徴は、内科と外科の区分を設けず疾患(臓器)の種類毎に専門診療科を設置している点である。医長を中心としたチーム医療体制が取られており、専門診療科毎に所属する獣医師と動物看護師がカンファレンスを通して、診療方針の検討や共有化を図っている。とかく強烈な個性が乱立しがちな大学の附属病院とは異なる一体感のある専門獣医療チームが成立している点が印象的であった。新卒から臨床経験者まで幅広く獣医師を採用しており、技能レベルに合わせて業務が割り振られていた。特に新卒者においては、2年間の全科研修と1年間の専門科研修プログラムが組まれており、臨床獣医師としての基礎技術習得をサポートする体制が整備されている。また、小動物臨床研修診療施設に指定(農林水産省)されており、大学の診療施設同様に臨床獣医師の卒後臨床研修を受け入れている。泌尿生殖器・消化器科では、泌尿器疾患の診療を中心に見学させていただいた。本施設において実施されている猫の尿管閉塞に対する腎瘻カテーテル留置法は、臨床現場で日常的に使用される栄養カテーテルを用いた方法でありながら比較的良好な予後を得られ、かつ治療コストを軽減できるという点で優れた方法であると感じた。本学での導入を検討していきたい。
 岩手大学農学部附属動物病院は、本学応用生物科学部附属動物病院と同じ国立大学附属の動物診療施設である。岩手県を中心に東北各県から症例の紹介があるという。伴侶動物診療科と産業動物診療科から構成され、前者はさらに内科と外科に区分される。伴侶動物診療科は、犬、猫、その他エキゾチックアニマルを対象にしており、内科と外科が同一フロアで連携しながら診療業務に従事している(図3)。今回の見学中は大学の春休み期間ということもあり、診療には多数の学生が参加していた。岩手大学では、本学のようにブランチラボを設置していないため、学生が臨床検査に参加する機会が多いようだ。学生が実際の症例に触れながら臨床検査を体験することにより、検査の原理と方法に関する理解を深められると同時に、検査結果を基に診断を導き出す論理的思考を磨くこともできることから、学生にとっては教育効果の高い環境にある動物病院であると感じた。内科の佐藤れえ子教授は、猫の多発性嚢胞腎(PKD)の病態解明を研究対象にされておられるが、今回の訪問中にも複数の症例が来院し、その取り組みの一端を見学することができた。また、外科の片山泰章准教授とは、猫の腎障害の病態について議論を深めることができた。附属動物病院所属の先生方とのディスカッションを通して、泌尿器疾患に関する共同研究の可能性を作ることもできた。
 
図3 岩手大学農学部附属病院の処置室 図3 岩手大学農学部附属病院の処置室
 
 最後に、本派遣事業にあたり研修のコーディネートをしていただいたJARMeC川崎本院泌尿生殖器・消化器科の林雄平医長および所属スタッフの皆様、岩手大学農学部附属動物病院の佐藤れえ子病院長および所属スタッフの皆様、またこのような機会を与えていただいた応用生物科学部の皆様に深く感謝申し上げます。


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