国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

生物化学研究室

レニン-アンジオテンシン系とは

私達が生きるためには,血流によって酸素や栄養素を全身に送る必要がある。血流を作る仕組みとして,血管の収縮を引き起こす分子機構レニン-アンジオテンシン系がある。生理活性ペプチドであるアンジオテンシンの前駆体タンパク質・アンジオテンシノーゲンを酵素レニンが特異的に切断し,アンジオテンシンⅠを産生する。アンジオテンシンⅠは別のプロセシング酵素(アンジオテンシン変換酵素)によってアンジオテンシンⅡに変換されて,このペプチドが血管収縮を引き起こす。

この経路に加えて,細胞膜上の受容体[(プロ)レニン受容体]が酵素レニンの不活性前駆体・プロレニンを活性化する経路があることが分かった。この受容体は酵素レニンをリガンドとして細胞内情報伝達を行うこと,そして,細胞増殖に関係するWnt(ウィント)シグナル伝達にもこの受容体が関わっていることが分かってきた。

一方、酵素レニン、基質アンジオテンシノーゲン、可溶型(プロ)レニン受容体がバイオマーカーとして期待できる。