国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

コロイド・界面科学研究室

化学II|質問コーナー

化学II|質問コーナー

化学IIの講義で学生のみなさんから寄せられた質問の中から、化学を理解するうえで大切なもの、面白いものを紹介します。

講義では時間の都合で十分に説明できなかった内容も、少し掘り下げて解説していきます。

Q1. 古典物理学で考えると、なぜ原子はつぶれてしまうのですか?

原子は、中心に正の電荷をもつ原子核があり、そのまわりに負の電荷をもつ電子が存在しています。では、電子を「原子核のまわりを回っている小さな粒子」として、古典物理学だけで考えてみましょう。

実は、この考え方には重大な問題があります。古典物理学に従えば、電子は原子核のまわりを安定して回り続けることができないのです。

1. まず、電子はなぜ原子核のまわりにいられるのでしょう?

最も単純な水素原子を考えます。原子核である陽子は正の電荷 \(+e\)、電子は負の電荷 \(-e\) をもっています。

正負の電荷の間には、クーロン力による引力が働きます。電子と陽子の距離を \(r\) とすると、その大きさは

\[ F_{\mathrm{C}} = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r^2} \]

です。ここで、\(\varepsilon_0\) は真空の誘電率です。

一方、電子が半径 \(r\)、速さ \(v\) で円運動していると考えると、円運動に必要な向心力は

\[ F_{\mathrm{c}} = \frac{m_{\mathrm e}v^2}{r} \]

となります。

電子が円軌道を回っていると考えるなら、クーロン力が向心力を与えているので、

\[ \frac{m_{\mathrm e}v^2}{r} = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r^2} \]

となります。

したがって、

\[ m_{\mathrm e}v^2 = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

です。

ここまでを見ると、「電子は原子核のまわりを円運動できそうだ」と思えます。しかし、ここから問題が起こります。

古典的な原子模型。原子核と電子、クーロン力、速度、軌道半径を示す模式図

図1 古典的な原子模型。クーロン力が電子の円運動に必要な向心力を与えると考えます。

2. 円運動している電子は「加速」しています

円運動では、速さが一定であっても、速度の向きが絶えず変化しています。

速度は大きさだけでなく向きをもつベクトルなので、速度の向きが変化するということは、電子には加速度があるということです。

円運動の加速度の大きさは、

\[ a=\frac{v^2}{r} \]

です。

つまり、原子核のまわりを回っている電子は、常に原子核の方向へ加速されていることになります。

3. ところが、電子は「電荷」をもっています

ここが決定的な問題です。

古典電磁気学では、加速度運動する荷電粒子は電磁波を放射すると考えます。

非相対論的な荷電粒子が放射する電力は、Larmorの公式によって

\[ P = \frac{e^2a^2}{6\pi\varepsilon_0c^3} \]

と表されます。ここで \(c\) は光速です。

円運動では

\[ a=\frac{v^2}{r} \]

ですから、

\[ P = \frac{e^2}{6\pi\varepsilon_0c^3} \left(\frac{v^2}{r}\right)^2 \]

となります。

つまり、電子が原子核のまわりを円運動している限り、電子は電磁波を放射し続けることになります。

4. 電磁波を出すということは、電子がエネルギーを失うということです

放射される電磁波はエネルギーを運び去ります。したがって電子の力学的エネルギー \(E\) は時間とともに減少します。

放射電力を \(P\) とすれば、

\[ \frac{dE}{dt}=-P \]

です。

では、原子核のまわりを回る電子のエネルギーを考えてみましょう。

電子の運動エネルギーは

\[ K=\frac{1}{2}m_{\mathrm e}v^2 \]

です。

先ほど得た

\[ m_{\mathrm e}v^2 = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

を使うと、

\[ K = \frac{1}{2} \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

となります。

一方、電子と陽子の静電ポテンシャルエネルギーは

\[ U = -\frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

です。

したがって、電子の全力学的エネルギーは

\[ E=K+U \]

なので、

\[ E = -\frac{1}{2} \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

となります。

ここで重要なのは、エネルギー \(E\) が負であり、さらに

\[ E\propto-\frac{1}{r} \]

となっていることです。

5. エネルギーを失うと、電子はどうなるのでしょう?

電子が電磁波を放射すると、

\[ \frac{dE}{dt}=-P<0 \]

となります。つまり、電子のエネルギーはさらに低く、より負になります。

ところが、

\[ E = -\frac{1}{2} \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \frac{e^2}{r} \]

ですから、エネルギーがより負になるためには、\(r\) が小さくならなければなりません。

つまり、

電磁波を放射する → エネルギーを失う → 軌道半径が小さくなる → 電子が原子核へ近づく

ということが起こります。

古典論による原子崩壊。電子が電磁波を放射しながら原子核へ近づく模式図

図2 古典論による原子崩壊の模式図。加速する電子は電磁波を放射してエネルギーを失い、軌道半径を小さくしながら原子核へ近づく。

さらに軌道半径が小さくなると、電子の運動状態も変化し、古典論では安定な軌道にとどまることができません。電子はエネルギーを放射しながら内側へ落ち込んでいくと予想されます。

したがって古典物理学だけで考えると、原子は安定に存在できないという結論になってしまいます。

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6. でも、現実の原子はつぶれていません

ここが物理学の大きな問題でした。

私たちの身のまわりにある物質は、原子からできています。そして原子は、実際には安定して存在しています。

つまり、

「古典物理学の法則が間違っている」というより、原子のような非常に小さな世界には、古典物理学だけでは説明できない新しい法則が必要だった

ということです。

この矛盾を解決しようとする過程で登場するのが、エネルギーの量子化です。

7. Planck:エネルギーは連続ではない?

Planckは黒体放射を説明するために、エネルギーが任意の値を連続的にとるのではなく、振動数 \(\nu\) に対して

\[ E_n=nh\nu \qquad (n=0,1,2,\ldots) \]

のような離散的な値をとるという考えを導入しました。

ここで重要なのは、隣り合う状態のエネルギー差です。

\[ \Delta E=E_{n+1}-E_n \]

ですから、

\[ \Delta E = (n+1)h\nu-nh\nu = h\nu \]

となります。

つまり、エネルギーのやり取りには

\[ \boxed{\Delta E=h\nu} \]

という基本的な単位が現れます。

この「エネルギーはどんな値でも連続的に変化できる」という古典物理学の常識を破る考え方が、量子論への重要な入口になりました。

8. Bohr:電子が存在できる軌道を限定する

Bohrは水素原子に量子論の考え方を取り入れ、電子がどんな軌道でも自由に回れるのではなく、特定の軌道だけが許されると考えました。

その条件として導入されたのが、角運動量の量子化です。

\[ m_{\mathrm e}vr=n\hbar \qquad (n=1,2,3,\ldots) \]

ここで、

\[ \hbar=\frac{h}{2\pi} \]

です。

Bohr模型では、電子が許された軌道にいる間は電磁波を放射せず、軌道間を遷移するときにだけ光を吸収・放出すると仮定します。

二つの状態のエネルギーを \(E_i\)、\(E_f\) とすれば、光とのエネルギーのやり取りは

\[ \left|E_f-E_i\right|=h\nu \]

となります。

これによって、水素原子が安定して存在することや、原子が特定の波長の光だけを吸収・放出することを説明できるようになりました。

9. でも、なぜ角運動量が量子化されるのでしょう?

Bohrの模型は大きな成功を収めました。しかし、

\[ m_{\mathrm e}vr=n\hbar \]

という条件は、Bohrが原子を説明するために導入した量子条件です。

では、なぜ電子にはそのような条件が必要なのでしょうか。

その意味がさらに見えてくるのが、de Broglieの物質波という考え方です。

de Broglieは、運動量 \(p\) をもつ粒子に

\[ \lambda=\frac{h}{p} \]

という波長を対応させました。

電子について

\[ p=m_{\mathrm e}v \]

とすれば、

\[ \lambda=\frac{h}{m_{\mathrm e}v} \]

です。

ここで電子の軌道一周の長さ \(2\pi r\) に、電子の波がちょうど整数個収まると考えてみます。

\[ 2\pi r=n\lambda \]

ここに

\[ \lambda=\frac{h}{m_{\mathrm e}v} \]

を代入すると、

\[ 2\pi r = n\frac{h}{m_{\mathrm e}v} \]

したがって、

\[ m_{\mathrm e}vr = n\frac{h}{2\pi} = n\hbar \]

となります。

これはBohrが導入した角運動量の量子化条件と同じ形です。

つまり、後から物質波という考え方で見ると、Bohrの量子条件は、電子の波が軌道上で定常波をつくる条件として理解できるのです。

de Broglieの物質波と定常波。波長が軌道一周に整数個収まる場合と収まらない場合の比較

図3 de Broglieの物質波と定常波。軌道一周に波長が整数個収まると波の位相がつながり、定常波をつくることができる。

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10. ここから「電子はどこを回っているのか?」という問いそのものが変わっていきます

ただし、ここで注意が必要です。現代の量子力学では、電子を「原子核のまわりの決まった円軌道を回る小さな粒子」として考えるわけではありません。

電子の状態は波動関数 \(\psi\) で表し、その状態を決める基本方程式がSchrödinger方程式です。

\[ \hat{H}\psi=E\psi \]

水素原子では、この方程式を解くことによって、許されるエネルギーが自然に離散化されます。

したがって、

古典的な円軌道 → Bohrの量子化された軌道 → de Broglieの物質波 → 波動関数による量子力学

という流れで、原子についての私たちの理解そのものが変化していったと見ることができます。

講義とのつながり:
ラザフォードの原子模型 → 古典物理学の限界 → Planckのエネルギー量子 → Bohrの原子模型 → de Broglieの物質波 → Schrödingerの波動力学

もう一歩考えてみよう:

電子の波が軌道を一周したとき、波長が整数個ちょうど収まらなかったら、波はどうなるでしょうか?

「定常波」という言葉を手がかりに考えてみましょう。

電子の波が軌道上で安定した定常波をつくるためには、軌道一周の長さ \(2\pi r\) と波長 \(\lambda\) の間に、どのような関係が必要でしょうか?

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Q2. 水素原子の線スペクトルについて詳しく教えて欲しい

水素原子にエネルギーを与えると、水素原子は光を放出します。

では、その光をプリズムや回折格子を使って波長ごとに分けてみると、どう見えるでしょうか。

1. 連続スペクトルと線スペクトル

太陽光や白熱電球の光を分けると、赤から紫までさまざまな波長の光が連続して並びます。このようなスペクトルを連続スペクトルといいます。

ところが、水素原子から放出された光を調べると、同じようにはなりません。

すべての波長の光が連続して現れるのではなく、決まった波長のところだけに明るい線が現れます。

これが、水素原子の線スペクトル(line spectrum)です。

連続スペクトルと水素原子の線スペクトルの比較

図1 連続スペクトルと水素原子の線スペクトルの比較。水素原子では、特定の波長のところだけに明るい線が現れます。

2. なぜ「線」に見えるの?

光の色は、光の波長 \(\lambda\) や振動数 \(\nu\) と関係しています。

波長と振動数の間には、

\[ c=\lambda\nu \]

という関係があります。ここで \(c\) は光の速さです。

したがって、特定の波長だけが観測されるということは、水素原子が特定の振動数の光だけを放出していることを意味します。

これは実は、とても不思議なことです。

古典物理学だけで考えるなら、原子が放出する光のエネルギーが、このように「決まった値だけ」になる必然性はありません。

ところが実験してみると、水素原子は好き勝手な波長の光を出しているわけではありません。

出してよい光が決まっているように見えるのです。

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3. 水素原子の線には規則性がある

19世紀には、水素原子のスペクトル線の波長が精密に測定されるようになりました。

可視光領域で特に有名なのが、Balmer系列です。

Balmerは1885年、水素原子の可視光のスペクトル線が、単なるばらばらの数字ではなく、非常にきれいな数学的規則性をもつことを見いだしました。

その後、Rydbergによって、その規則性はより一般的な形で表されるようになります。

4. Rydbergの式

水素原子のスペクトル線の波長は、

\[ \frac{1}{\lambda} = R_{\mathrm H} \left[ \frac{1}{\left(n_f\right)^2} - \frac{1}{\left(n_i\right)^2} \right] \]

と表すことができます。

ここで、

\[ n_i,n_f=1,2,3,\ldots \qquad (n_i>n_f) \]

という整数が現れることに注目してください。

\(R_{\mathrm H}\) は水素原子に対するRydberg定数です。

可視光として観測されるBalmer系列では、

\[ n_f=2 \]

です。

したがって、Rydbergの式は

\[ \frac{1}{\lambda} = R_{\mathrm H} \left[ \frac{1}{4} - \frac{1}{\left(n_i\right)^2} \right], \qquad n_i=3,4,5,\ldots \]

となります。

つまり、水素原子のスペクトル線は無秩序に並んでいるのではありません。

整数を使った非常に単純な式に従っていたのです。

Balmer系列とRydbergの式。水素原子の可視光スペクトルの規則性を示す図

図2 Balmer系列とRydbergの式。水素原子の可視光領域のスペクトル線には、整数を使った非常にきれいな規則性があります。

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5. 式が分かったら、水素原子を理解したことになる?

ここが科学の面白いところです。

Rydbergの式を使えば、「どの波長にスペクトル線が現れるか」を非常にうまく記述できます。

しかし、式が実験結果に合うことと、「なぜ自然界がその式に従うのか」を説明できることは別問題です。

特に不思議なのは、

\[ \frac{1}{n^2} \]

という形です。

なぜ整数 \(n\) が現れるのでしょうか。

なぜ \(n=1,2,3,\ldots\) のように飛び飛びなのでしょうか。

そして、なぜエネルギーに関係する現象から \(1/n^2\) という規則性が現れるのでしょうか。

Rydbergの式そのものは、この「なぜ?」には答えてくれません。

実験結果をうまく記述できることと、その理由を説明できることは違う。

6. Bohrはこの「なぜ?」に挑戦した

1913年、Niels Bohrは水素原子について大胆な仮説を導入しました。

Bohrは、電子が原子核のまわりでどんな状態でも自由にとれるのではなく、特定の状態だけが許されると考えました。

Bohr模型から得られる水素原子のエネルギーは、

\[ E_n = -\frac{13.6}{n^2}\ {\rm eV} \qquad (n=1,2,3,\ldots) \]

となります。

ここで、Rydbergの式に現れていた

\[ \frac{1}{n^2} \]

が再び現れました。

しかも、電子はこれらのエネルギーの中間を自由にとるのではなく、決められたエネルギー準位だけをとると考えます。

7. なぜBalmer系列になるのでしょう?

水素原子のエネルギー準位

\[ E_n = -\frac{13.6}{n^2}\ {\rm eV} \]

を使って考えてみます。

高い準位 \(n_i\) から低い準位 \(n_f\) へ電子が遷移すると、放出される光のエネルギーは

\[ E_i-E_f = 13.6 \left[ \frac{1}{\left(n_f\right)^2} - \frac{1}{\left(n_i\right)^2} \right] {\rm eV} \]

となります。

一方、光のエネルギーは

\[ E_i-E_f = h\nu = \frac{hc}{\lambda} \]

です。

したがって、

\[ \frac{1}{\lambda} \propto \left[ \frac{1}{\left(n_f\right)^2} - \frac{1}{\left(n_i\right)^2} \right] \]

という関係が得られます。

これは、Rydbergが実験から見つけた規則性と同じ形です。

そして可視光のBalmer系列では \(n_f=2\) ですから、

\[ \frac{1}{\lambda} \propto \left[ \frac{1}{4} - \frac{1}{\left(n_i\right)^2} \right] \]

となります。

Rydbergは実験結果の中から規則性を見つけ、Bohrは原子のエネルギー準位という考え方を使って、その規則性がなぜ現れるのかを説明しようとしたのです。

8. 線スペクトルは「エネルギー準位の差」を見ている

電子が高いエネルギー状態 \(E_i\) から低いエネルギー状態 \(E_f\) に移ると、そのエネルギー差が光として放出されます。

\[ \Delta E = E_i-E_f = h\nu = \frac{hc}{\lambda} \]

です。

つまり、原子内部で許されるエネルギーが飛び飛びなら、その差も飛び飛びになります。

その結果、放出される光の振動数や波長も、どんな値でもよいわけではなく、特定の値だけになります。

水素原子のエネルギー準位間の遷移とBalmer系列の線スペクトルの関係

図3 線スペクトルの正体:エネルギー準位間の遷移。水素原子では、電子が高いエネルギー準位から低い準位へ遷移するとき、そのエネルギー差に対応する光が放出されます。

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9. では、線スペクトルから何が分かったの?

水素原子の線スペクトルが教えてくれた最も重要なことは、

原子のエネルギーは、どんな値でも自由にとれるわけではない。

ということです。

許されるエネルギーが

\[ E_1,\ E_2,\ E_3,\ldots \]

のように離散的になっているため、その差

\[ \Delta E=E_i-E_f \]

も決まった値になります。

そして、

\[ \Delta E=h\nu \]

ですから、放出される光の振動数も決まり、

\[ c=\lambda\nu \]

によって波長も決まります。

だからスペクトルは連続にならず、決まった位置にだけ線が現れるのです。

10. ここから量子論が始まる

水素原子の線スペクトルは、単に「きれいな色の線が見える」という現象ではありません。

その一本一本の線が、「原子内部のエネルギーは飛び飛びになっている」ことを私たちに教えています。

ただし、Bohr模型にもまだ大きな疑問が残ります。

なぜ電子には特定の状態しか許されないのでしょうか。

なぜエネルギーは飛び飛びになるのでしょうか。

Bohrはその条件を仮定することで水素原子のスペクトルを説明することに成功しましたが、なぜその条件が必要なのかまでは十分に説明できませんでした。

その先で、de Broglieの物質波、そしてSchrödingerの波動方程式へと話が進んでいきます。

Q2のポイント

水素原子の線スペクトルとは、特定の波長にだけ現れる光のスペクトルです。

そして、その本当の重要性は、

\[ \boxed{ \text{線スペクトル} \Longrightarrow \text{決まったエネルギー差} \Longrightarrow \text{離散的なエネルギー準位} } \]

実験で見つかった「飛び飛びの光」が、原子の中にある「飛び飛びのエネルギー」を教えてくれた。

講義とのつながり:
水素原子の線スペクトル → Balmer系列 → Rydbergの式 → Bohrの原子模型 → エネルギー準位 → 光の吸収・放出 → 量子力学

もう一歩考えてみよう:

Rydbergは、水素原子のスペクトル線に現れる規則性を実験結果から見つけました。

では、なぜその式の中に整数 \(n\) が現れ、さらに \(1/n^2\) という形になるのでしょうか? Q1で登場したBohrの量子条件と結びつけて考えてみましょう。

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