研究内容
地球上に生息する動物は、周りの環境から常に何らかの影響を受けています。特に地球の公転周期や自転周期に沿った時間のリズム(季節や1日24時間など)は、太古の昔から地球に存在し、動物たちに強く影響を与えています。動物は厳しい環境に適応するため、地球の時間リズムに自らの『体内時計』を同調させることで、生存競争を勝ち抜いてきました。我々の祖先が獲得したこの体内時計は、身体の様々な生理機能をコントロールすることが知られていますが、まだ多くの謎が残されています。現在、体内時計がどのようなメカニズムで身体の生理機能をコントロールしているのか、体内時計の乱れと様々な疾患との関わりなどが広く研究されています。
私たちの研究室では、外的環境要因が動物の体内時計と身体の生理機能に与える影響を探る研究を行っています。外的環境要因といってもその種類はさまざまであり、昼夜や日長による光環境、温度、湿度、気圧、雨といった自然からのものや、食べ物からの栄養物質、医薬品、毒、フェロモンなどの化学的なもの、微生物や最近、ウイルスといった生物的なもの、さらには学校のようなコミュニティ、宗教、文化といった社会のライフスタイルなど、多岐に渡ります。環境変化にさらされると、動物はあらゆる生理機能を変化させ、適応することで体の恒常性を保とうとします。ですがこのシステムに異常が起きた場合、生理機能が正常に働かなくなったり体内時計が乱れたりすることで、さまざまな疾患を発症します。このような外的環境要因が引き起こす疾患の発症メカニズムは、まだわかっていないことが多く、まだまだ解明するべきことがたくさんあります。そのため、我々はモデル動物としてマウスを用いて、外的環境要因が動物の生理機能をどのように変化させるのか、体内時計を狂わせることがあるのかを研究しています。また、岐阜には飛騨牛という有名なお肉がありますが、生産者の高齢化と担い手不足は深刻です。そのため、より省力的に効率の良い飛騨牛生産に貢献できるように、体内時計の仕組みを利用したウシの新しい飼養管理技術の開発にも取り組んでいます。
主な研究テーマ
- さまざまな外的環境要因が動物の生理機能に与える影響
- 生体リズムと動物の生理機能に関する分子生物学的な研究
- 遺伝子改変マウスを用いた様々な生理機能のメカニズム解明および生体リズムに関する研究