国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

野生動物資源学研究室

【講演】愛知県環境測定分析協会にて「データから見るクマとのつきあい方」について講演しました

2026年6月29日,愛知県環境測定分析協会において,岐阜大学野生動物資源学研究室の森部絢嗣准教授が「データから見るクマとのつきあい方」と題して講演を行いました。

本講演では,愛知県および岐阜県におけるツキノワグマの確認状況や出没傾向をもとに,クマの生態,人里への出没要因,人身被害の発生状況,クマに遭遇した際の基本的な対応について解説しました。

特に,クマの目撃情報や確認件数は,実際の生息数や出没数をそのまま示すものではなく,報道による関心の高まり,同一個体の重複報告,地域住民の慣れによる過少報告など,複数のバイアスを含むことを説明しました。そのうえで,定点カメラやGPS,客観的な記録に基づくモニタリングの重要性について紹介しました。

また,近年のクマ被害の増加について,堅果類の豊凶,里山管理の低下,人里にある餌資源への学習,気候変動の影響など,複数の要因が重なっていることを示しました。クマを過度に恐れるのではなく,データに基づいて正しく理解し,誘引物の除去,見通しの確保,出没情報の共有など,地域で実行可能な対策を積み重ねることの重要性をお伝えしました。

野生動物資源学研究室では,今後も野生動物の行動把握,被害発生メカニズムの解明,AI・IoT技術を活用した対策技術の開発を通じて,人と野生動物が適切な距離を保ちながら共存できる地域づくりに貢献してまいります。