国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

高校生・受験生の方

食品生命科学コース(応用生命科学課程)前澤重禮教授

食品生命科学コース(応用生命科学課程)
前澤重禮教授(大阪府出身)

大学入学後の出会いと感動を大切に。

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大学生活の醍醐味は、若さと一緒に溢れ出てくる自由な発想を世の中に投げかけ、自分の可能性を無限に膨らませることができることです。5年後の自分の姿を想像してみて下さい。あなたが理想とする将来の自分を友達に話してください。夢の実現は大学生活で努力することから始まります。

現在もっとも関心のある研究テーマについて教えてください。

留学生との打ち合わせで英語でディスカッションする前澤教授
学生の実験を指導する前澤教授

一言でいうと、「流通」です。それも生鮮食品の流通に興味を持っています。
生鮮食品、すなわち農産物は人間の命を支えている食材で、農産物のない生活などありえません。ただ、日本ではこれだけ生活が豊かになったためか食材はいつでも手に入ると安易に考えています。
そこで考えなければならないことは二つあります。
一つは、食材を生産する農業、もう一つは農産物を消費者まで供給する流通です。

我が国の農業従事者は年々減少し続けているにもかかわらず、一般消費者はこのことは情報としては知ってはいるものの、その解決につながる行動を社会に組み込むシステムが依然未熟です。
私はこのシステムを「流通の視点」で少しずつ整備しようと考えています。そのために、複雑化した農産物流通の現状をきちんと整理して、農業従事者の収入向上に繋がる流通システムの改善を目指しています。

さらに、消費者が生鮮食品を購入する際に最も気にする鮮度についても興味を持ち続けています。生鮮食品の命は鮮度です。
平成16年にベンチャー企業(株式会社前澤食産研究所)を立ち上げ、生産者、流通業者、消費者に対して食品鮮度管理制度の普及に努めています。そして、流通の現場で鮮度のことを科学的に考えることのできる食品鮮度管理士を育成しています。
日々変化していく食品流通はとても奥深い境域なので、もっと興味を持ってもらいたいと思っています(食品流通科学研究室)。

この分野を目指すきっかけを教えて下さい。

研究対象の生鮮食料品のトマト
研究対象の生鮮食料品のホウレンソウ

食品流通は全ての人が間接的に毎日関わっている身近な領域です。
あまりにも生活に密着しているためか、多くの人がその重要性に気づいていないのが現実でしょう。
私は、研究者として独り立ちしてからの約10年間(平成4年まで)は、別の大学の医学部領域で蛋白質化学の研究に没頭しました。
生命維持において蛋白質は生体高分子として重要な構造を保持しながら計り知れない機能を発揮し、その奥深さに感動しました。

ある時、蛋白質をミクロ的に捉えるだけでなく、食品成分として捉えながら、マクロ的視点で「食料生産と食生活の関係」に向かい合うことの重要性をふと感じ、この分野に飛び込みました。
食品の流通領域は現場主義です。大学の研究室内に閉じこもっていては激動する流通についていくことはできません。
今では積極的に現場に出向き、流通現場の方とコミュニケーションをとりながら流通全体を鳥瞰し、ワクワクしながら流通の進化を実感しています。

大学の教員になっていなかったら、どんな職業を選んでいたと思いますか?

私は高校に入学したことから「大学の先生になりたい」と思い続けてきました。
当時の私は若さのためか、世の中の仕組みも全く知らずにただ大学院博士課程への進学を目指していました。
学生時代のある時、就職担当の教授から、ガス関連会社への就職を強く勧められました。そのときが人生最初の決断だったと思います。
大学の教員になっていなかったら、間違いなく企業戦士になっていたでしょう。人生は自分の意志で切り開きたいものです。

受験生に一言お願いします。

受験生の方へのメッセージ大学への進学は人生最初の分岐点としてとらえる傾向が強いと思います。
国公立か私立か、文系が理系か、地元か下宿か、そして、受験科目数に偏差値・・・。
受験する大学選びにはこれら以外にもたくさんの要素が複雑に絡まっているでしょう。
そのため、自分の胸に手を当て「理屈抜きで入学したい!」と感じる大学を見つけ出すことが一番です。
岐阜大学応用生物科学部食品生命科学課程では、生物、食品、生命、遺伝子、・・・といったキーワードでつながる教育メニューが完備されて専門領域の選択肢は豊富です。
「大学入学後にどんな人と出会い、どんな感動を体験するか」が人生を形作っていくことでしょう。 岐阜大学応用生物科学部にもっと興味を持って頂くことを望みます。


前澤重禮教授の所属する食品生命科学コース(応用生命科学課程)