国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

動物栄養学研究室

研究内容

放牧による里山の保全と利用

概要

里山とは,農林業などの人間活動を通じて形成された二次的自然環境であり,その環境を好む多くの動植物の住みかとなっているだけでなく,農畜産物の生産や良好な景観を形成することで,観光やレクリエーションの機能も果たしている。しかしながら,人口の減少や高齢化に伴い,里山では管理が行き届かなくなった農地や草地が増えている。これは,長い年月をかけて作りあげてきた里山の機能が喪失することを意味している。

管理放棄された農地や草地では,一年生や多年生雑草が繁茂し,さらに灌木類が侵入することで,二次的自然環境としての維持が困難になる。そこで,当研究室では,草食家畜であるヤギやウシを管理放棄された土地に放牧することで,里山としての生態系や生物多様性を維持・保全するとともに,家畜生産への貢献を目指す研究に取り組んでいる。

現在の研究テーマ

  • 放棄地におけるヤギの放牧が,植物および土壌動物の多様性に及ぼす影響
  • 放牧地における植物の多様性が,草食家畜の健康に及ぼす影響

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動物園における草食動物の栄養管理

概要

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動物園動物は,飼育されている野生動物である。すなわち,本来の生息環境とは,かけ離れた環境で暮らしている。野生動物の生態や行動は,生態学や行動学の対象として多くの研究がされているが,一方で,どのような食物を摂取し,その食物に含まれる栄養素はどの程度で,さらに動物が正常かつ健康に生育するのに必要な栄養の要求量はどれぐらいか?といった栄養学的な知見は十分ではない。このため,動物園動物の飼育は,それまでの経験や慣行に頼ることが多く,科学的根拠が十分でないことが多い。そこで,本研究室では,家畜の栄養学・栄養管理の知見をベースにして,動物園で飼育されている草食動物の栄養管理を,飼料とそれに含まれる栄養素,消化および代謝生理,健康の関連性を分析し,動物園動物の栄養管理を確立する研究に取り組んでいる。

現在の研究テーマ

  • 大型草食獣(アジアゾウ,キリン)の栄養生理の解明と栄養管理法の確立
  • 飼育下および野生コロブス亜科における消化生理の解明