国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

動物病院研究室

研究内容

周術期低体温予防に関する研究

背景

全身麻酔中の低体温症は、術後の創部感染の増加、出血量の増加、心臓合併症の増加、麻酔からの覚醒遅延といったさまざまな問題を引き起こす。そのため、麻酔中の体温管理は非常に重要とされているが、犬や猫などの小動物では麻酔中の体温低下が早く、体温管理は困難である。人やラットを用いた研究から、総合アミノ酸製剤の輸液によって周術期低体温を予防できることが明らかになっているが、犬ではアミノ酸輸液の有効性や安全性に関する報告はほとんど認められない。そこで本研究室では、アミノ酸を用いた周術期低体温の新規予防法の開発を目的として、研究を進めている。

研究成果

これまでの研究から、犬に対して麻酔前から総合アミノ酸製剤を投与すると、用量依存性に体温低下が抑制されることが明らかになった。また、ラットや人同様、アミノ酸輸液によってインスリン分泌が促進されることも示された。このことから、犬においても周術期低体温に対する新規予防法としてアミノ酸輸液が有効であること、これにはアミノ酸輸液によって誘導されたインスリンが関与していることが示唆された。