国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

高校生・受験生の方

応用動物科学コース(生産環境科学課程)八代田真人准教授

応用動物科学コース(生産環境科学課程)
八代田真人准教授(東京都出身)

基礎を大事にすることが、応用を育てる。

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私は動物の管理や栄養を研究する応用科学者です。応用科学を目指すがゆえに, 基礎の重要性を日々痛感しています。大学に入学したら,興味のある分野だけに集中したくなるかもしれません。でもどうか,基本的知識や論理的思考といった基礎を大切にしてください。また,違う視点から物事を考える思考習慣も身につけてください。それこそが,明日の応用を育てるのだと思います。これは自分への戒めでもあります。

現在もっとも関心のある研究テーマについて教えてください。

林内放牧の様子

草食家畜による植物資源の有効活用です。具体的には,山地や林地,耕作放棄地などに牛や羊などの草食家畜を放牧し,そこに生育する植物を食べさせて家畜生産をするということです(動物栄養学研究室)。
草食家畜は人間が栄養として利用できない植物体(セルロース)を,人間にとって良質な蛋白質やエネルギーに変えてくれる貴重な能力の持ち主です。この能力を有効に活用しない手はありません。
日本は植物が旺盛に育つ土地です。しかしながら,日本の里山では耕作地や山地,林地が利用されなくなってきています。一方で,家畜の飼料の多くは海外から の輸入に依存しています。そこで,草食家畜によって里山に生える植物を利用し,低コストでかつ輸入飼料への依存を減らせるような家畜生産システムを構築するというのが研究テーマです。これは,家畜生産だけでなく,里山の保全にもつながると思っています。

この分野を目指すきっかけを教えて下さい。

学生時代を思い出す八代田准教授

生きものが好きな少年でした。でも住んでいる所が都会(?)だったので,もっと雄大な自然がある所に暮らしたいな,というのが大学を選んだ主な理由です。かなりいいかげんな動機ですね。もっといろんな事を考えたと思いますが,突きつめるとこれかな。
大学に入ったのち「草食家畜は草で飼うべきである」という言葉が琴線に触れて,今の分野に進みました。当たり前の事なのですが,今の世の中では決して当たり前ではない現状を何とかしたいと思って。 
大学院に進学するときに「放牧」というマイナー中のマイナー分野(笑)を選択しました。牛まかせ,草まかせの所から家畜生産を得る。
正しく言えば,牛と草の相互作用を見極めながら人類にとって重要な食料を効率良く得る。その方法を考えるという研究の奥深さと難しさに魅了されて今があります。

大学の教員になっていなかったら、どんな職業を選んでいたと思いますか?

学内での牛の様子

酪農家。牛という動物には愛着があります。広大な草地に牛を放牧して生計を立てたいというのは今でもひとつの夢です。
でも,あちらこちらに行ってみたい,色んなものを見てみたいという性分なので,果たして大地に根を張って生きていけたかどうか。結局,大学の教員でなくても牛をはじめとする草食動物に関われる研究職を選択していたかもしれません。

受験生に一言お願いします。

受験生の方へのメッセージ

大学は,それまでとは比べものにならない程,いろいろな事を学び,いろいろな事を経験する機会に溢れています。講義や実習によって,そのうちのいくらかは与えられますが,自分自身が能動的に活動することで,そのチャンスはさらに増えていきます。
自分の興味があることはもちろん,物事の基本的なしくみを理解すること,そして自分とは違った物事の考え方があることを経験し,学んでください。そのためにも,いろんな事に挑戦してみてください。それこそが,皆さんの礎になります。
でも,あんまり肩肘はらずに。こんな私でも生きていますから(笑)。
キャンパスで会えることを楽しみにしています。


八代田真人准教授の所属する応用動物科学コース(生産環境科学課程)