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掲載日:2015年3月30日

【報告】平成26年度岐阜大学応用生物科学部 『武者修行』

応用生物科学部では、研究の質の向上や学際性・国際性の発展を目的とした若手教員(准教授及び助教)を国内外の研究拠点に派遣する、学部独自の派遣事業(応用生物科学部武者修行)を実施しています。

 

小動物における腫瘍外科学の確立
共同獣医学科 助教 村上麻美

期 間:平成27年3月15日~26日
派遣先:酪農学園大学腫瘍科

 
 

 今回、小動物の腫瘍治療における診療技術のうち、外科の技術を磨くということで、本邦での第一人者である廉澤剛教授が教鞭を取ってみえる酪農学園大学附属動物病院腫瘍科(図1)を訪問した。

 

図1:酪農学園大学附属動物病院の外観
 
 酪農学園大学附属動物病院には内科、外科(整形/神経)、腫瘍科(軟部外科)、眼科、画像診断科、麻酔科、リハビリテーション科で成り立っていた。腫瘍科では、教員2名、研修医3名と学生で構成されており、月、水、金曜日が放射線治療日、火と木曜日が初診、再診という診療体制であった。手術日は月と水曜日の2日であるため複数件の手術が予定されていることが多く、時に日が変わってしまうこともあるとの話であった。また手術摘出可能と判断される腫瘍は徹底的に外科手術を実施しており、上顎や下顎の切除も多く実施されていることやリスクが高い症例に対しても根治を目指して手術を実施していたのが印象的であった。

 酪農学園大学腫瘍科は腫瘍治療以外でも外科処置が必要な場合には腫瘍科が担当しているため年間約200件以上の手術実施成績がある。今回の訪問中は、手術件数が少ないとのことであったが、それでも8件あり十分に見応えがあった。手術時には、天井からのビデオ撮影や術者視点から観察可能なようにウェアラブルカメラのビデオ撮影(図2)が行われており、後日研修医や学生が視聴できるようになっていた。これらのビデオは編集され、基本的な手術動画については酪農学園大学のe-learningにアップされており、腫瘍科以外の学生でも手術動画を視聴できるようになっているなど学生の教育への配慮もなされていた。
 

図2 ウエアラブルカメラを装着し手術に臨んでいる廉澤先生
 
 また、X線撮影には放射線技師、超音波検査は内科、画像診断検査(CT撮影およびMRI撮影)は画像診断科が担当していた。その他には、手術以外でも鎮静下での検査が必要であった場合には麻酔科が担当しているなど専門分野が徹底されていた。いずれの科も私立大学であるため在籍する学生は1学年5−6人であり、春休み中ということもあったであろうが多数の学生が診療に参加していた。酪農学園大学では、教員の補助を受けつつ学生が主体となって問診をとり、各種検査法を提示しながら診断を下していく過程に感銘を受けた。
 診療以外では、金曜日の朝にはゼミが、火・木曜日の診療後には症例検討会が実施されており、第1、第3月曜日には腫瘍科のゼミで第2、第4月曜日のゼミは病理学研究室とのCPC(Clinico-pathological conference、図3)が行われていた。CPCでは病理学教室や腫瘍科の学生以外の研修医や学生も参加しており臨床と病理の相互理解の必要性も強く感じた。
 

図3 CPCの風景
 

 今回の滞在で学んだこととしては、人医療でも同様であるが、獣医療においても、悪性腫瘍を外科、放射線、化学療法を組み合わせて、飼い主様の希望を叶え、動物のQOLを保ちつつ実施して行く必要性を改めて実感したことである。
 また、本派遣では外科手術の技術獲得のための見学という目的のほか、様々なディスカッションを重ねているうちに動物の悪性腫瘍についての基礎研究に関する共同研究の可能性も生まれたことも幸運であった。
 
 最後となりましたが、酪農学園大学で様々なことをご教授いただいた廉澤剛教授、遠藤能史講師を始めとして動物病院のスタッフや学生達、今回の武者修行の機会を与えてくださいました応用生物科学部の先生方に深く感謝申し上げます。


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