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天然物利用化学研究室

主な研究

タンニンの構造と生理活性解明

 タンニンは、植物に普遍的に存在している成分であり、大きく加水分解性タンニンと縮合型タンニンに分けられる。タンニンは収斂性があり、タンパク質や金属と複合体を作りやすく、そのため生体内で重要な役割を演じている。本研究室ではタンニンの持つ生理機能が複雑な構造のどの要因に基づくのかを明らかにするために、天然から見いだし構造解析したタンニンと明確な構造を持つ化学合成タンニンを基に、それらの生理機能(タンパク質凝集作用、酵素阻害活性、抗酸化作用、消臭作用など)との構造活性相関について研究している。


熱帯産薬用植物研究

 熱帯に生育する植物は、過酷な環境要因(紫外線、微生物、昆虫、動物など)に打ち勝つための自己防衛成分を自ら生合成している。これらの成分は量的に多いばかりでなく、生理活性が高い多彩な化学構造を持つものが多い。一方熱帯地域には、古来より民間伝承薬が発達しており、その国々で育まれ現在でも重要な意味を持ち利用され続けている。本研究では安全性がすでに実証されている南アジアの国々に生育する薬用植物に着目し、薬効性に起因する成分の探索や新規な生理機能と薬効性を見いだすことを目的としている。特に口腔内細菌(虫歯菌、歯周病菌、ニキビ菌)感染症予防、メラニン色素の生産に及ぼす生理活性、炎症性サイトカインの生産抑制、さらには神経細胞樹状突起形成促進果など、美容と健康をキーワードにした生理機能に貢献する天然医薬成分の構造および機能について分子レベルで研究している。

植物香気成分の生理・心理作用に及ぼす効果の解明

  植物の香り成分は,古代エジプトのミイラの製造に欠かせない薬や聖徳太子が好んだ香木など神事や神聖な時と場所において不可欠なものであるばかりでなく,伝統的な精神疾患の治療薬として世界の各地域で育まれ今なお発展し続けている。現在ではハーブや果実から抽出した精油を嗅いだり,浴槽に入れたり,体に塗ったりすることで,リラクゼーションやストレスケア,美容,健康維持,疲労回復さらには疾病予防などアロマテラピーとして馴染み深い。たとえば,ラベンダーは鎮静・鎮痛効果,ペパーミントは胃腸機能改善・収斂効果,ローズはホルモン調節効果などが上げられる。これらの効能は,体温,血圧,保水性などの体内環境恒常性を自動的に制御している自律神経系に作用して働くと考えられている。このように,様々な植物由来の香気成分に関する研究・探索が行われているが,それらの対象は主に果皮,果実,葉,花由来の精油に関するものが多い。一方,豊富なバイオマスを持つ高等植物の樹木およびその加工材料の木材に関しては,建築用材やパルプ用材などへの利用は確立されているものの,その精油の利用に関する実用化研究は多くない。しかしながら,近年の森林浴概念の定着とともに,木材の揮発成分が生体に及ぼす影響など,様々な実証的研究も散見されるようになってきた。

 最近,我々はマウスやラットを用いた実験において,ヒノキ科樹木の一種であるホワイトサイプレスの心材に含まれる精油(CEO)の香気成分雰囲気下で飼育したマウスの体重,血清中および肝臓中のトリグリセライドとトータルコレステロールがコントロール群に比べて減少することを見出し,この匂い成分に肥満抑制効果があると考察した。さらに,麻酔下ラットにCEOおよびその分画物を吸入させたときの肩甲骨間褐色脂肪組織の交感神経活動に及ぼす影響と肥満抑制効果に寄与する成分の特定を試みたところ,興味深い新しい知見を得ることができた。

 本研究では、植物の香り成分が生理・心理作用に与える影響とその効果を動物実験を通して神経生理化学的手法により考察し、将来的には今後日本社会が直面する高齢化社会に向けた、生活習慣病予防や認知症予防などに対応できる研究を進める。


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