国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部

ユニオン・インフラメンテナンス共同研究講座

研究内容

農業用ため池のレベル2地震動の耐震性評価

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東日本の震災以降多発している大規模地震や今後予想される南海トラフ地震への対応として,農業用水利施設の大規模地震に対する耐震照査と必要な対策が急務となっている.農業用フィルダムのレベル2 地震動ではニューマーク法が用いられるようになってきているが、従来のこの手法では、すべり変位により土塊重心が低下し起動モーメントの値が小さくなることが考慮されていない.本研究では、滑動後のすべり土塊のスライスを再分割し,起動モーメントと抵抗モーメントを再計算することで最終的なすべり変位を算定する新手法を考案した。【担当:西村眞一・吉村伸一】

短時間降雨強度式の推定

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気候変動の影響を受け、各地でゲリラ降雨による湛水被害が多発している。長年、計画排水量の計算に使われてきた短時間降雨強度式は過去の降雨記録によって作成されたものであるため、雨の降り方が大きく変化してきた近年では、従来の推定式では短時間降雨強度を過小に評価することが懸念されている。本研究では、正確な短時間降雨強度の推定が、排水計画上急務であることを認識し、全国の気象台で公表している膨大な降雨データを活用して新降雨強度式を作成することを目的としている。【担当:千原英司・木野村遼】

豊川用水芦ヶ池の水質改善対策

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渥美半島中央部に位置する芦ケ池は、農地に直接用水を配るとともに、豊川用水の幹線水路と連結し用水需要変動を吸収するために築造された調整池である。しかしながら、周辺の土地利用形態を主要因とする水質障害(アオコ)が発生し、造成当初から農業用水や周辺環境に対して悪影響を与えている。本研究では、芦ケ池を巡る水利諸量の観測データを用いて、水収支解析を行うことによって水質悪化のメカニズムを解明し、水質改善のための対策を検討する。【担当:西村眞一・乃田啓吾・片桐正己・石神直哉・千家正照】

森林流域からのSi、Feイオンの流出供給量

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森林から供給される栄養塩は河川や海域の生産性や健全な海域生態系の維持に寄与している。本研究では、岐阜大学付属位山演習林(下呂市)内の異なる林相の森林流域からの渓流水を採水し、海域生態系に与える項目として注目されている鉄と珪素の微量要素について分析し、平水時と出水時における流出供給量の経時的変化を明らかにすることを目的とする。【担当:平松研・大西健夫・市川聖佳】

自流域からの流出水を利用した小規模灌漑システム

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一般に中山間地に位置する農耕地は灌漑のための水源確保が困難である。研究対象としている三重県御浜地区も同様に、中山間地を開拓した国営の造成団地で柑橘類を栽培しているが、近年のマルドリ栽培の普及のために灌漑用水の需要が増大し、灌漑用水が不足している。本研究は、自流域からの流出水を下流端に配置した沈砂池に貯留し、団地上流のファームポンドに流出水をポンプアップして灌漑水を確保する自流域完結型の小規模灌漑システムについて検討する。具体的には、過去10年間の気象データを用いて、造成団地の面積、マルドリ作付面積、TRAM値などの数値から沈砂池(貯水池)の必要容量を決定する手法を提案する。【担当:千家正照・木野村遼】

人工地盤緑化におけるセンシング技術による省灌水管理と雨水の貯留・遅延効果の実証調査とモデル化

      

人工地盤における緑化の灌水量はタイマーによる自動制御の場合、水分が十分にある状態でも灌水が行われ、資源の無駄遣い、ランニングコスト高の状況となっている。また土壌の保水力による雨水貯留、遅延(ダム化)の効果が損なわれている可能性がある。高精度の水分センサーを利用し、必要な分だけの水分を供給する事により、水資源の節約と同時にランニングコストダウン、集中豪雨時の都会における雨水の貯留・遅延(緑のダム機能)能力向上の実証調査とそのモデル化に取り組んでいる。【担当:環境緑化技術共同研究会 緑のダムプロジェクトチーム・千家正照】